【5月6日 AFP】北マケドニア(旧マケドニア)で5日、大統領選の決選投票が行われ、与党・社会民主同盟連合のステボ・ペンダロフスキ(Stevo Pendarovski)氏が接戦の末に保守政党の支持を受けた野党候補を抑えて勝利宣言した。

 北マケドニアでは国名変更をめぐって世論が二分されていたが、ペンダロフスキ氏の勝利により国名変更でギリシャとの合意をまとめた政府には追い風となった。

 選挙管理委員会によれば、ほぼすべての開票が終わった時点の得票率は、ペンダロフスキ氏が51.75%、右派野党の支持を受けた対立候補で法学教授でもあるゴルダナ・シルヤノフスカ・ダフコバ(Gordana Siljanovska-Davkova)氏が44.65%だった。シルヤノフスカ・ダフコバ氏はペンダロフスキ氏におよそ6万票及ばなかった。

 政治学教授でもあるペンダロフスキ氏は、北マケドニアの北大西洋条約機構(NATO)加盟に向けた調整に当たっている。国名変更をめぐっては、ギリシャとの合意を得るプロセスを推進してきた。

 旧マケドニアは今年2月、国名に「北」を追加することで、国内に「マケドニア」の地名を持つ隣国ギリシャと合意に達した。国名問題で数十年間マケドニアと対立してきたギリシャは、北マケドニアの欧州連合(EU)とNATO加盟を阻止してきたが、合意によってこの問題をめぐる論争は終わった。しかし北マケドニア国民の一部は、国名変更で国の独自性が失われるとして、怒りをあらわにしている。シルヤノフスカ・ダフコバ氏も国名変更に批判的だった。

 5日の決選投票が有効となるには投票率が40%を超える必要があったが、選挙管理委員会は180万人の有権者のうち約46%が投票したと明らかにした。

 北マケドニアの大統領はおおむね儀礼的な役割を担うが、一定の拒否権も持っている。野党が支持していた現職のゲオルギ・イワノフ(Gjorge Ivanov)大統領は国名変更に反対し、関連文書への署名を拒否した。(c)AFP/Sally MAIRS and Saska CVETKOVSKA