【5月3日 AFP】フランスの首都パリで、デモ参加者らと当局の衝突があったメーデー(May Day)の1日、一部の過激化したデモ隊が病院に押し入る事態が発生し、政府は2日、過激化したデモ隊を非難した。全国規模での抗議運動の参加者と当局との緊張がさらに高まる恐れがある。

 現場となったピティエサルペトリエール大学病院(Pitie-Salpetriere University Hospital)の医師らの話では、デモ隊が院内に強引に侵入し、集中治療室にまで入ろうとしたという。

 これに対し、半年前からエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)政権を揺るがしている反政府デモ運動「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」の支持者らは、同院に入ったデモ参加者らは警察が使用した催涙ガスから逃れようとしただけだと主張している。

 ピティエサルペトリエール大学病院は、1997年に自動車事故に巻き込まれた英国のダイアナ元皇太子妃(Princess Diana)が搬送され、死去した病院で、労働組合のデモ行進の終了地点であるイタリー広場(Place d'Italie)に程近い。検察当局は、同院への侵入で30人以上が逮捕されたとしている。

 パリ市内の病院を統括するマルタン・イルシュ(Martin Hirsch)氏は、今回の「説明のつかない押し入り」について、「侵入だったのか、一団が何かから逃れようとしていたのか、私には分からない」と述べた。ただ「被害はなかった」としている。

 またアニエス・ビュザン(Agnes Buzyn)保健相は地元ラジオ局に対し、「病院で暴力行為が起きたのは今回が初めて」だと指摘し、「私と同じように、全国民が非常に強い衝撃を受けていると思う」と語った。(c)AFP/Hazel WARD and Stuart WILLIAMS