モラー特別検察官、ロシア疑惑で司法長官に不満伝達 米紙
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【5月1日 AFP】米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は4月30日、2016年の大統領選にロシアが介入した疑惑におけるドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領による司法妨害の疑いについて確定的な結論に至らなかったとしたウィリアム・バー(William Barr)司法長官に対し、ロシア疑惑の捜査を指揮したロバート・モラー(Robert Mueller)特別検察官が不満を示す書簡を送っていたと報じた。
バー司法長官は3月24日、2年に及んだ捜査の報告書に関する4ページの概要を議会に提出し、司法妨害でトランプ氏の刑事責任を問うには証拠不十分だと指摘した。
これを受け、トランプ氏は自らに対する司法妨害の疑惑は完全に晴れたと宣言した。
しかし、4月18日に448ページにわたる捜査報告書の完全版が一部黒塗りながら公表され、トランプ氏が何度も捜査を妨害しようとしたとモラー氏が詳述していたことが明らかとなった。
ワシントン・ポストによると、概要提出の3日後にモラー氏はバー氏に書簡を送り、概要が捜査報告書の「文脈、本質、内容を十分に捉えていない」と不満を表し、捜査結果の重大な側面について世間で混乱が生じていると厳しい言葉で批判。
また、「このことは司法省が特別検査官を任命した主な目的、すなわち捜査結果に対する国民の信頼を十分に得るという目的を損なう恐れがある」と指摘したという。
さらに現職大統領を起訴しないという司法省の原則から、モラー氏はトランプ氏の刑事告発に関しては明言を避けたものの、捜査結果からは大統領を潔白とすることはできないと明確に表明した。
民主党は今週、2日間にわたる議会の公聴会でバー氏に質問を行い、ロシア疑惑捜査における自身の役割やモラー氏とのやり取りについて長時間ただすものとみられている。(c)AFP