中国「一帯一路」、構想の現状と今後の見通し
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【5月2日 AFP】2013年に習近平(Xi Jinping)国家主席が提唱したアジア、欧州、アフリカを結ぶ大経済圏構想「一帯一路(One Belt One Road)」──。中国政府は、さらに多くの国の参加を促すべく働きを強めている。
一帯一路は、港湾、鉄道、道路、工業団地などを建設するプロジェクトで、中国政府はこれまでに900億ドル(約10兆円)を投じている他、銀行は3000億ドル(約33兆円)以上の貸し付けを行っている。
参加国は、一帯一路が国内のインフラを改善する機会になると歓迎しているが、専門家らは新たな負債を負わせ、環境破壊を引き起こす恐れがある政策と指摘している。
■参加国
中国外相は先月末、126か国と29の国際機関が一帯一路への協力に関する覚書を中国政府と交わしたことを明らかにした。
だが、その多くは一帯一路を全面的に支援するとした内容とはなっておらず、第三国での協力や投資、経済協力を提案するものにとどまっていた。
イタリアは3月、先進7か国(G7)として初めて一帯一路への協力に関する覚書を締結したが、米国や欧州連合(EU)からは批判や懸念の声が上がっている。
■鉄道
中鉄快運(China Railway Express)は2011年、中国62都市と欧州51都市を結び、15か国を通過する国際貨物列車を開通させた。
これまでに1万4691本が運行され、2018年には輸送総額が330億ドル(約3兆6800億円)に達した。積載率が100%の貨物列車は中国発で全体の94%に上ったが、欧州発では71%にとどまった。
中国とラオスを結ぶ全長414キロの鉄道の建設も進んでいる。これまでに131億3000万元(約2170億円)が投資され、すでに12のトンネルが開通している。
また、中国南西部の雲南省(Yunnan)からラオスを通過しタイの港湾までをつなげる鉄道計画もある。完成すれば、雲南省は、中国製品が東南アジアに輸出される際の貿易ハブとなると期待されている。
アフリカでは、ケニアの首都ナイロビとインド洋に面するケニア最大の港湾都市モンバサ(Mombasa)とが鉄道でつながっている。