【4月30日 AFP】(更新、写真追加)イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の最高指導者アブバクル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)容疑者とされる人物が登場するプロパガンダ動画が29日、ISによって5年ぶりに公開された。

 動画の撮影時期は不明だが、バグダディ容疑者とされる男はその中で、今月21日にスリランカで起きた連続爆発事件と、IS最後の拠点だったシリア東部バグズ(Baghouz)で数か月続いた末に先月終結した戦闘について言及している。

 バグダディ容疑者とされる男はクッションの上に足を組み座り、顔にぼかしの入った男3人に向かい「バグズでの戦いは終わった」と発言。「神はわれわれに『聖戦』を行うよう命じた。神はわれわれに勝利は命じなかった」と述べている。また、姿がカメラに映っていない場面で、253人が死亡したスリランカの連続爆発事件について、「バグズの同胞たちに対する報復」だったと言及した。

 男は、ISの西側諸国に対する作戦は「長い戦い」の一部であり、ISは殺害されたメンバーのために「復讐(ふくしゅう)」を続けると表明。「この戦いの後、さらに多くの戦いが待っている」と述べた。

 バグダディ容疑者とされる男は、ヘンナ染料で染めたとみられる白髪交じりの長いひげを生やし、しばしば文の途中で数秒の間を置きながらゆっくり話した。

 動画の男は、ISなどのテロ組織を監視する米団体SITEインテリジェンス・グループ(SITE Intelligence Group)と、ISに詳しいイラク人専門家のヒシャム・ハシェミ(Hisham al-Hashemi)氏によってバグダディ容疑者と確認された。

 現在47歳のバグダディ容疑者が公の場に姿を現したのは、2014年にイラク北部モスル(Mosul)でシリア・イラク両国にまたがるIS支配地域での「カリフ制国家」樹立を宣言した時のみだった。容疑者については以降、死亡または負傷したとの情報が何度も報じられていた。(c)AFP