【4月28日 AFP】(更新)米カリフォルニア州パウウェイ(Poway)のシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)で27日、銃撃事件が発生し、1人が死亡、ラビ(ユダヤ教指導者)1人を含む3人が負傷した。27日は、ユダヤ教の「過ぎ越しの祭り(Passover)」の最終日だった。

 サンディエゴ(San Diego)郡のビル・ゴア(Bill Gore)保安官が記者会見で語ったところによると、銃撃の際に4人が負傷し、病院に搬送された。このうち女性(60)は負傷が原因で死亡したが、未成年の少女1人とラビ、男性(34)の3人の容体は安定しているという。

 ゴア氏によると、サンディエゴ在住のジョン・アーネスト(John Earnes)容疑者(19)が逮捕された。同容疑者に逮捕歴はなかった。容疑者がソーシャルメディアで行っていた活動や、オンラインに投稿した公開書簡について捜査が進められている。

 ゴア氏によると、容疑者は午前11時20分(日本時間28日午前3時20分)すぎにシナゴーグに侵入し、米国で起きた多くの銃乱射事件で使用されてきたのと同じ半自動小銃AR15タイプの銃を撃ったが、銃に不具合が発生したため、被害は拡大しなかったとみられる。

 容疑者は、現場のシナゴーグにいた非番の国境警備隊員に撃たれると、車で逃走した。

 サンディエゴ警察によると、容疑者は最終的に、無線を聞いて現場に急行し、容疑者の車を発見した警察犬係の警察官によって逮捕された。容疑者は両手を上げて車から出てきたところを直ちに拘束された。拘束時、助手席には小銃1丁が置かれていたという。

 米国ではちょうど半年前の昨年10月27日、ペンシルベニア州ピッツバーグ(Pittsburgh)にあるシナゴーグ「ツリー・オブ・ライフ(Tree of Life)」で白人至上主義者が銃を乱射し、11人が死亡する事件が起きていた。この事件は、米史上最も多くの死者を出したユダヤ人コミュニティーに対する攻撃となった。

■公開書簡の内容は

 AFPがアーネスト容疑者の公開書簡を読んだところ、先月15日にニュージーランドのクライストチャーチ(Christchurch)の2か所のモスクで50人が死亡する銃乱射事件を起こしたブレントン・タラント(Brenton Tarrant)容疑者が同じメッセージボードに書き込んでいたものと似た内容が書かれていた。

 アーネスト容疑者は公開書簡の中で、タラント容疑者ならびにピッツバーグのシナゴーグ襲撃犯の行為を称賛するとともに、クライストチャーチのモスク襲撃の1週間後にカリフォルニア州のモスクで起きた火災は自分が起こしたものだと主張した。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はウィスコンシン州で開かれた集会で、パウウェイのシナゴーグ銃撃事件を「ヘイトクライム(憎悪犯罪)」として非難し、「われわれは反ユダヤ主義とヘイトの悪行を強く非難する。こういったものは粉砕されなければならない」と述べた。

 カリフォルニア州のギャビン・ニューソム(Gavin Newsom)知事も、「礼拝する場所に行くのが怖いと感じさせるようなことがあってはならないし、信仰の実践が襲撃の標的にされるようなこともあってはならない」と述べて、事件を非難した。(c)AFP/Sandy HUFFAKER