【4月25日 AFP】バングラデシュの首都ダッカで、縫製工場が入居していたビルが崩壊する事故から6年が経過した。だが、事件を機に欧米の大手企業を中心に設立された衣料業界の労働環境改善を目的とした監視機関が今、閉鎖されようとしている。活動家らからは「恐ろしい結果」を招くことになるとの声が上がっている。

 崩壊した9階建ての「ラナプラザ(Rana Plaza)」には、縫製工場がひしめき合うように入っていた。2013年4月24日の事故では労働者1138人が死亡し、310億ドル(約3兆5000億円)規模ともされたバングラデシュの衣料業界における安全基準の低さが浮き彫りとなった。

 事故後、スウェーデンの「H&M(へネス・アンド・マウリッツ)」、ファストファッションブランド「ザラ(Zara)」などを展開するスペインの「インディテックス(Inditex)」、フランス小売り大手の「カルフール(Carrefour)」、米アパレルの「ギャップ(Gap)」などは、周囲からの強い圧力を受ける形で、二つの監視機関を設置。欧米向けの衣類を製造する縫製工場4500以上の調査を実施してきた。

 そのうちの一つ、主に米国ブランド向けの製品を扱う1000近い工場の監視を行っていた「バングラデシュ労働者安全連合( Alliance for Bangladesh Worker Safety)」は、既にその活動を停止している。

 H&Mやアイルランドのファストファッションブランド「プライマーク(Primark)」、英スーパーマーケット大手「テスコ(Tesco)」などが参加する、より大規模な監視機関「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定(Accord on Fire and Building safety、アコード)」については、下級裁判所で閉鎖を命じる判決が出され、現在は最高裁の判断を待っている状態だ。