【4月25日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)が多数派を占めるサウジアラビアで、少数派のシーア派(Shiite)教徒ら37人の死刑が執行されたことを受け、国際的な非難が高まっている。

 ミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)国連人権高等弁務官は24日、死刑囚のうち「少なくとも3人は、判決が出た時まだ未成年だった点に嫌悪をおぼえる」と述べた。

 欧州連合(EU)も、未成年として起訴された者の死刑執行は「重大な人権侵害」に当たるとした上で、死刑囚の多くがシーア派だったという事実は「宗派間の緊張をあおりかねない」との見方を示した。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)は、処刑された37人中、少なくとも33人がシーア派だったと指摘。「不公正な」集団裁判による有罪判決であり、判決の根拠となった自白も拷問によって引き出した疑いがあると非難した。

 国営サウジ通信(SPA)によると、37人は「テロリズムで有罪判決を受けていた」。サウジ内務省は、うち複数が「宗教間の対立をあおった」罪に問われたと説明しているが、これはサウジ当局がシーア派の活動家を訴追する際にしばしば用いる罪状だ。

 37人というのは、一度の死刑執行人数としては少なくとも過去3年間で最多。SPAは、うち1人が処刑後にはりつけにされたと伝えている。超保守的な産油国サウジアラビアでの処刑方法は、斬首が通例で、はりつけは特に重大な罪を犯した者に対して行われるという。(c)AFP