【4月25日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は24日、ウクライナ東部の分離派が2014年に樹立を宣言した「ドネツク(Donetsk)人民共和国」「ルガンスク(Lugansk)人民共和国」の住民を対象に、ロシア国籍の取得を簡易化する内容の大統領令に署名した。ウクライナ政府はロシア側の動きを直ちに非難している。

 ウクライナでは21日に次期大統領が選出されたばかり。同国当局者らは、ロシアがこの時期に今回の措置を取った狙いは、政権移行期にあるウクライナを不安定化させることだとの見方を示した。

「共和国」はどちらも国際的な承認を受けていないが、ロシアは両地域を統治する反政府勢力を支持。両地域の住民は今後、申請から3か月以内にロシア旅券(パスポート)を取得できるようになる。

 先週末のウクライナ大統領選挙で当選したコメディアン、ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)氏は今回のロシア側の措置を受け、対ロ制裁の強化を国際社会に訴えた。

 ゼレンスキー氏は広報を通じ、「ロシアはウクライナに戦争を仕掛ける侵略国家であり、今回の動きは、その真の立場を世界に示す、新たな、明白な証拠だ」と表明した。

 ウクライナ政府と分離派勢力の間では2014年、ロシアがウクライナのクリミア(Crimea)半島を併合した後に武力衝突が始まり、これまでに約1万3000人が命を落としている。(c)AFP/Ola CICHOWLAS