【4月25日 AFP】アフガニスタンで米軍や政府側部隊の攻撃で亡くなった民間人の数が、旧支配勢力タリバン(Taliban)など反政府勢力の攻撃による民間人の死者数を初めて上回ったことが、国連(UN)が24日に発表した報告書で明らかになった。

 アフガニスタンでは現在、米国がタリバンとの和平交渉を進める一方で同国での空爆作戦を加速させている。現在のタリバン勢力は2001年のタリバン政権崩壊以降最も広い範囲で支配力や影響力を行使している。

 国連アフガニスタン支援団(UNAMA)が年4回発表する報告書によると、2019年1月から3月の間、連合軍や政府側部隊の攻撃により死亡した民間人の数は305人、反政府勢力の攻撃による民間人死者数は227人だった。

 民間人死者の大半は、米軍の支援を受けるアフガニスタン政府側部隊が主に行う空爆や地上での捜索作戦によるもので、UNAMAはこうした部隊の一部は「罰則を受けることなく行動しているとみられる」と指摘。報告書の中でUNAMAはアフガニスタン政府軍と連合軍に、「民間人が巻き添えになっている状況について調査し、結果を公表し、必要に応じて被害者に賠償金を支払うよう」求めた。

 UNAMAは、アフガニスタンの治安悪化が進んでいた2009年、民間人死者の統計を開始。以降、政府側部隊の攻撃による民間人死者数が反政府勢力による死者を上回ったのは今回が初めて。

 米軍は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が制約を緩めたことに伴いタリバンの拠点を爆撃しやすくなったため、2017年に軍事作戦のペースを速めていた。(c)AFP