【4月24日 AFP】マラウイで23日、世界で初めて使用が承認されたマラリアワクチンの接種が始まった。マラリアはアフリカ諸国の子どもを中心に毎年数十万人の死者を出している。

 新ワクチン「モスキリックス(MosquirixRTS,S)」の配布はマラウイの首都リロングウェで始まり、今後数週間でケニアとガーナでも行われる見通し。ワクチンは30年余りの期間と10億ドル(約1100億円)近くを投じて開発された。

 世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、「マラリア予防は、ベッドの蚊帳などの対策によりここ15年で大きく前進したが、進展は停滞しており、後退している地域もある」と指摘。「われわれにはマラリア対策を再び軌道に乗せる新たな解決策が必要で、新しいワクチンはその達成に向け有望な手段となる」と述べた。

 モスキリックスは長期の臨床試験により安全性が確認され、マラリア感染の確率を40%近く下げられることが示された。これは今まで報告された中で最高の予防効果だが、感染を完全に防げるわけではないため、接種後も蚊帳など従来型の予防手段を組み合わせる必要がある。また、効果が出るには厳格な日程で4度の連続接種を受ける必要があり、これはアフリカ地方部にとっては厄介な段取りとなる。

 3か国での予防接種計画は2歳以下の乳幼児36万人を対象とするもので、実施によりワクチンの有効性に関し広範囲の知見を得る他、提供方法の実行可能性を確かめる狙いがある。マラウイ保健省高官はAFPに対し、同国では毎年600万人のマラリア感染が報告されており、ワクチン接種によりうち100万人の感染を防ぎ、4000人の命を救える見通しだと説明した。(c)AFP