【5月4日 Xinhua News】中国広東省(Guangdong)英徳市(Yingde)青塘鎮(Qingtang)にある青塘遺跡は、旧石器時代から新石器時代への過渡期にあたる嶺南地方(南嶺山脈以南の地域)の洞穴(どうけつ)遺跡で、今年3月に「2018年全国十大考古学発見」の一つに選ばれている。この遺跡の発掘調査がこのほど終了した。

 考古学者らが2016年から2019年初頭にかけて、同遺跡の黄門岩1~4号洞穴で発掘調査を行った結果、古代人類の化石や石器、土器、貝器および骨角器や動物の骨格化石といったさまざまな文物の標本1万点余りが出土した。彼らは、約2万5000年から1万年前の間にこの地で暮らしていた人類が残した活動の痕跡だとみている。

 広東省文物考古研究所・フィールドワークセンターの劉鎖強(Liu Suoqiang)副主任は「彼らの洞窟生活は無味乾燥なものではなかった」と語る。黄門岩2号洞穴の30平方メートルの発掘区域からは、食品貯蔵エリアやゴミ堆積エリア、石器製造エリアなど、さまざまな機能別エリアが見つかっている。

 専門家は、見つかった動植物の遺物から、当時の人々が食べていた物の種類がかなり豊富であったことがわかると話す。植物の果実の種やイネ科植物のデンプン粒など多くの植物性遺物のほか、さまざまな動物の肉が食されていた。劉副主任は「これは旧石器時代から新石器時代への過渡期に、広範囲にわたる採取経済が成立していた有力な証拠だ」と述べている。

 遺跡から見つかった多くの炉跡も、当時青塘の集落で暮らしていた人々が火の取り扱いに長けていたことを示している。遺跡から出土した約1万7千年前の土器について、専門家は調理に使われていたと推測している。

 嶺南地方の祖先たちは、狩猟採集、食物の処理、裁縫など、食事以外の日常の「作業」をしたりして、慌ただしく過ごしていた。彼らが日頃使っていた道具は、ほとんどが身の回りの材料を加工したものだった。遺跡からは3千点余りの打製石器や石錐(せきすい)、剥片(はくへん)石器、穿孔(せんこう)石器、局部磨製石器といった各種の石器が出土しており、周囲の河原の小石を利用して作った石器を日常の道具にしていたことがうかがえる。

 また、精巧な骨針も出土しており、考古学者は手に入りやすい鹿の革を縫って服を作るのに使っていたのではないかと推測している。遺跡から見つかった2万年前の穿孔貝器は、カラスガイの殻で作られており、食料採集の際、ウリ類や果物類、穀類の収穫などに使われていたものとみられる。(c)Xinhua News/AFPBB News