■40年かけて失われたのと同じ量の氷がこの8年で消失

 リグノット氏によると、これらのモデルは実地測定データの裏付けを得て、2000年代以降に信頼性が非常に高まり、誤差範囲は数十年前を100%とすると、5~7%程度になったという。

 研究チームは、1970~80年代のグリーンランドの氷を復元するためにこれらのモデルを使用。その結果、グリーンランドでは1970年代に年間平均47ギガトン(470億トン)の氷が堆積していたものの、1980年代にはそれと同じ量の氷が消失したことが明らかになった。

 1990年代も引き続きそのペースで氷が融解し、2000年代になると融解ペースが急激に加速し(年間187ギガトン)、2010年代に入ってからはさらに加速した(年間286ギガトン)。

 研究チームの推測では、現在、氷の融解は1980年代の6倍の速さで進行している。また、グリーンランドの氷河がもたらした海面上昇は、1972年以降で13.7ミリになる。

 英ランカスター大学(Lancaster University)で環境データ科学の講師を務めるアンバー・リーソン(Amber Leeson)氏は、「今回の最新データにより、世界の海面上昇につながるグリーンランドにおけるここ最近の劇的な変化を長期的な背景の中で捉えやすくなった。この8年間で確認された氷の消失量は、それに先立つ40年間で消失した量に匹敵する」と指摘している。(c)AFP/Ivan Couronne