■警察に拘束される準備

「不服従者たち(Les Desobeissants)」と呼ばれる小規模NGOの創立メンバーで、パリでデモへの参加指導にあたるレミ・フィリオ(Remi Filliau)さんは「過去6か月から7か月、毎月数回の講習会で指導してきた」と語り、以前は参加者がずっと少なかったと述べた。

 フィリオさんはアクセルさんに、相手を塊となった一団から引き離す方法のコツを示した。アクセルさんは女性の背後から相手の鼻の下に人さし指を置き、次に鋭く引き上げた。女性の腕がパッと開いた瞬間にぐっと引っ張ると、数秒でデモ隊に見立てたグループから引き離すことができた。アクセルさんは女性を床に引きずり出して模擬拘束を実演して見せた。フィリオさんは「警察はこのテクニックを使うことが許されている」と参加者に語った。「だが、くすぐるのはセクハラとみなされ、警官はやってはいけないことになっている」

 講習会では始めに大きな輪になって着席した参加者らに、どこまでやる覚悟があるか、どんなリスクを冒す準備があるか考えさせる。「われわれは自分たちの行動を、一般の目から見て正当化できなければならない」とフィリオさん。「そして自分の行動に責任を取らなければならない」

 フィリオさんは過去10年間のフランスで成功を収めた抗議デモは、銀行に圧力をかけ化石燃料開発から撤退させたものや、国に特定の遺伝子組み換え生物(GMO)・作物を禁止させたものを含め、すべて公に非暴力的に行われてきたと指摘する。

 それでも、直近に予定されていた反気候変動デモを指し、「だが警察に拘束されることへの心構えがなければ、おそらくデモには来ない方がいい」と語った。

 大学生のジュリーさんは「街を行進するだけではもう不十分だ」と言う。「でも警察に捕まる覚悟まであるかどうかは分からない」と述べた。

 映像は13日撮影。(c)AFP/Marlowe HOOD