【4月23日 AFP】フランスの国会議事堂前の階段で、非暴力だが違法な座り込みをするデモ隊。このデモを解散させる機動隊員の役を演じたアクセルさんは、活動家仲間と固くスクラムを組んだ女性1人を引き離すのに悪戦苦闘した。まるで岩に貼りついた貝を引き剥がすときのように、つかみどころがないのだ。

 これは「非暴力・市民的不服従101(Non-Violent Civil Disobedience 101)」と呼ばれる1日の基本的なデモ参加訓練プログラムだ。正義を追求するためには違法デモへの参加も辞さないと決心した人々を対象にしている。

 18日の土曜日、パリで開かれた講習会に出席したのは55人。参加者の大半を駆り立てているのは、気候変動と地球上の種の消滅が加速していることへの懸念だ。世界では昨年10月以降、特に西欧と北米で、こうした問題をめぐる草の根の抗議運動が急成長している。
  
 15日には、緩やかな結束ながらよく組織された英国発祥の環境保護運動「Extinction Rebellion(絶滅への反逆)」が、世界の主要都市での同時行動週間を打ち出した。

 ロンドンではウォータールー橋(Waterloo Bridge)や国会議事堂前広場など街を象徴する場所で交通を阻止し、「ロンドンをまひさせる」と宣言した。「XR」の略称で知られるこの運動は、市民的不服従の歴史的模範として米公民権運動やインド独立運動からヒントを得ている。

 何によって気候変動に対する抗議運動が突然勢いづいたのかは不明だ。だが講習会の参加者の一部は、昨秋出された国連(UN)の科学報告書をきっかけとして挙げた。この報告書は、地球温暖化による破滅を最小限に抑えるためには、人類がエネルギーの生産方法と消費方法を抜本的に変革するしかないと警告した。