【4月23日 AFP】スペインで22日、28日投開票の総選挙に向けた主要政党党首のテレビ討論会が行われ、カタルーニャ(Catalonia)自治州独立問題への対応をめぐり、右派政党の党首らがペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)首相を猛烈に批判した。

 公共テレビの討論会には、現与党・社会労働党(PSOE)のサンチェス氏の他、前与党の中道右派・国民党(PP)、中道右派シウダダノス(Ciudadanos)、急進左派ポデモス(Podemos)の4党の党首が参加。昨年12月に南部アンダルシア(Andalusia)自治州の議会選で、スペイン民主化以降、極右政党として初めて議席を得たボックス(VOX)は、国会に議席がないとして選管当局が参加を認めなかった。

 予算案が議会で否決され、サンチェス首相が解散に踏み切ったために前倒し行われる今回の総選挙では、カタルーニャ自治州の独立の動きが激しい論争を呼ぶテーマとなっている。

 討論会の中で国民党のパブロ・カサド(Pablo Casado)党首は、「スペインを分割したい人々は、サンチェス氏という彼らの候補を持っている」と批判。シウダダノスのアルベール・リベラ(Albert Rivera)党首も、サンチェス首相がカタルーニャ独立派の指導者で同自治州首相のキム・トラ(Quim Torra)氏と談話している写真を演台に持ち出し、「私はスペインを分割したがる人々にひざまずくことのない首相が欲しい」と攻撃した。

 両者はサンチェス首相が昨年6月の就任以降、カタルーニャ独立派と交渉するためにスペインを裏切っていると非難。また、マリアノ・ラホイ(Mariano Rajoy)前首相に対する不信任動議と、それに続いた少数連立政権の発足にあたって、国会でカタルーニャ独立派に取り入ったと批判した。

 これら中道右派政党党首の発言に対し、サンチェス首相は、カタルーニャ独立の是非をめぐる住民投票に同意したことは一度もないと強調。さらに、カサド氏とリベラ氏の方が、極右政党ボックスにすり寄ろうとしていると反撃した。
 
 アンダルシア州では伝統的に社会労働党が強いが、昨年の州議会選では12議席を獲得したボックスの支持を得て、国民党とシウダダノスによる連立州政府が発足した。

 サンチェス首相は次のように述べて、同じことが国政レベルでも起こり得ると警告した。「(米国大統領選では)勝利するわけがないと思っていたトランプ氏が勝利した。起こるわけがないと思っていた英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)も起きている」「アンダルシアでは、合意に達するわけがないと思っていたPPとシウダダノス、極右政党が合意した」と述べた。(c)AFP/Marianne BARRIAUX