兵士の同性愛は犯罪、韓国軍に批判 先進国で唯一禁止
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【5月9日 AFP】韓国軍の将校だったその男性(27)は、生産的で士気が高く模範的と言われていたが、ある秘密を持っていた――同僚の兵士と同性愛の関係にあったのだ。韓国軍の決まりでは同性間性行為は犯罪と見なされており、男性は友人や家族にも自らの性的指向を隠し、恋人とは基地外で非番の時に会うだけだった。
民間人であれば同性間性行為は合法だが、キリスト教福音派の影響が強い保守的な韓国社会で、大部分の同性愛者は他人に気付かれないように暮らしている。
将校だった男性は「懸命に働いてきたが、容疑者になってしまえば何も関係なかった」とAFPに語った。「ただ死にたいと思う日々だった」。男性は、パートナーの携帯電話に残っていた自分のメッセージが軍当局に発見されたため拘束された。
韓国では健康なすべての成人男性に、約2年間の兵役が課されている。兵役は愛国的義務であり、2年間の義務を果たせないことは、社会的地位や将来の雇用にまで響く不名誉とされている。
■先進国で唯一
韓国は先進諸国で唯一、兵士同士の合意に基づく同性間性行為を犯罪と定める軍の取り決めがある。違反すると軍法会議で裁かれ、有罪となると懲役2年を科される可能性がある。
2017年には軍内部調査により、同性愛行為で兵士22人が身柄を拘束された。
前出の男性は他の兵士たちよりも幸運だった。兵役期間の最後の月に起訴されたため、裁判は民間法廷で行われることになり、無罪判決が下った。軍の同性間性行為禁止の取り決めにより起訴され、無罪となったのは初めてだった。
だが、検察側が控訴したため、男性は控訴審を待っている状況で、法的にも社会的にも不安定な状態で過ごしている。この間、新たな職に就いて市民生活に復帰し、家族には自分の性的指向を詳しく知られないように努めてきた。
「自分の存在すべてを否定されているようだ」と男性は言う。「そもそも、私は起訴されるべきではなかった」