【4月22日 AFP】男子テニスのファビオ・フォニーニ(Fabio Fognini、イタリア)は、かつて女性審判に性差別的な暴言を浴びせて全米オープンテニス(US Open Tennis Championships)から追放されたり、「NextGen」と称される若手有望株たちを痛烈に批判したりして悪童のイメージを持たれていたが、それらはもう過去の話だと主張している。

 フォニーニは21日に行われたモンテカルロ・マスターズ(Monte-Carlo Rolex Masters 2019)決勝でドゥサン・ラヨビッチ(Dusan Lajovic、セルビア)を下し、並み居る強豪を押しのけてマスターズ1000(ATP Masters 1000)初制覇を果たした。

 コートサイドには元全米オープン覇者で妻のフラビア・ペネッタ(Flavia Pennetta)さんの姿があった。2人は2016年に結婚し、翌年には第1子が誕生。「いつも一緒にいるんだ」と語るように家族思いになったフォニーニは大会期間中、ペネッタさんに投げキスを送ったり、試合中に手でハートマークをつくったりしていた。

 理想の父となったフォニーニは今、感情を抑えてプレーに集中し、今大会準決勝では11度の大会優勝経験を誇るラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)を撃破。本人も「最高の仕事をして勝てたときはハッピーだ。幸せじゃないはずがないよね」と認める。

 モンテカルロ・マスターズで1968年のニコラ・ピエトランジェリ(Nicola Pietrangeli)氏以来となるイタリア人チャンピオンになったフォニーニは、もう主審やラインズマンを怖がらせるようなこともしない。

 2年前の全米オープンでは、予選から勝ち上がってきた同胞のステファノ・トラヴァーリャ(Stefano Travaglia)の前に1回戦で敗れた後、スウェーデン出身のルイース・エンセル(Louise Engzell)審判を「あばずれ」呼ばわりするなど暴言を吐き、罰金2万4000ドル(当時約260万円)と大会からの失格処分を科された。

 しかし、この日は試合が終わってから約1時間後にコートに戻り、自身を支えてくれたボールキッズの元を訪れた。2年前に起こした全米オープンでの騒動からは想像もつかないような光景だった。

「今は人生にすべてが備わっている。自分は健康だし、ベイビー、そして妻もいる」とフォニーニ。故郷のイタリア・サンレモ(San Remo)から国境を越えてすぐ近くのモナコで、生まれ変わった31歳がコートの外での成熟を結実させた。(c)AFP/Bill SCOTT