【4月20日 AFP】ボスニア・ヘルツェゴビナ中部の村クレシェボ(Kresevo)では、蹄鉄(ていてつ)を作る職人が「名人」と呼ばれるためにはある繊細な作業をこなせなければならない─―卵に蹄鉄を付けることだ。

 この村ではキリスト教のイースター(Easter、復活祭)の伝統として、卵の殻にミニチュアの蹄鉄をくぎで留め、装飾を施す。起源は18世紀にさかのぼり、蹄鉄工の見習いが腕前を試したり披露したりしたことが始まりだ。住民約5300人のうち80%ほどがカトリック教徒のクロアチア系だ。

 職人のスチェパン・ビレティチ(Stjepan Biletic)さん(71)は、古くから伝わるこの技術が国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界文化遺産に登録されることを願っている。「友人や隣人、ガールフレンドや妻への最も美しい贈り物だ」とビレティチさんは言う。

 イースターが近づくにつれ、ビレティチさんの小さな工房には大勢の人が押し寄せる。卵は1個3~7.5ユーロ(約380~940円)で販売されている。(c)AFP