【4月19日 AFP】オーストラリアにある観光客に人気の島で、同国原産のイヌ科のディンゴがキャンピングカーの中にいた1歳の男児を口で引きずり、連れ去ろうとしていたところを父親が救出するという出来事があった。当局が19日、明らかにした。ディンゴに人が襲われる例は、今年に入ってこれで3件目。

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 救急医療隊によると、現場は豪北東部クイーンズランド(Queensland)州沖にあるフレーザー島(Fraser Island)の奥地。

 隊員の話では、子どもが泣く声で目を覚ました両親が、その声が車から遠ざかっていくのに気付き、父親が車の外に出てみると、ディンゴが男児を引きずって行こうとしており、すぐそばに群れがいたという。

「父親はすぐさま走って息子を奪い返し、何匹かのディンゴを追い払った」と、同隊員は話している。

 1歳2か月とされる男児は、後頭部と首の境辺りの2か所に深い傷、さらに頭皮に数か所軽傷を負い、応急処置を受けた後、近くの病院にヘリコプターで搬送された。

 フレーザー島は世界最大の砂の島で、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)にも登録されている有名観光地。

 同島でのディンゴによる襲撃は今年に入ってこれが3度目で、先月にもフランス人親子がディンゴ2匹に襲われたばかり。この2匹は殺処分された。

 当局は観光客に対し、ディンゴは野生動物であり、警戒が必要だと繰り返し呼び掛けている。(c)AFP