【4月19日 AFP】世界一重いオウムで絶滅危惧種のカカポ(和名フクロウオウム)が記録的な繁殖期を迎えていると、ニュージーランドの科学者チームが18日、発表した。夜行性の飛べない鳥カカポの独特な繁殖行動は、気候変動が助けとなって活発化している可能性があるという。

 緑色、黄色、黒色の羽を持ち、丸々と太ったカカポは50年足らず前、すでに絶滅したとみなされていた。1970年に少数の個体が発見されて以来、成鳥の個体数は147羽にまで増加している。

 ニュージーランドが進めているカカポの個体数回復活動の科学顧問、アンドリュー・ディグビー(Andrew Digby)氏がAFPに語ったところによると、雌の成鳥50羽中49羽が249個の卵を産み、うち89個がすでにふ化しており、75羽のひなが成鳥までたどり着くと見込まれるという。これは、3年前の前回の繁殖期に比べて成功率が2倍以上に上昇している。

 ディグビー氏の表現によれば「変わった」オウムのカカポは、雌が繁殖過程の主導権を握り、ニュージーランド固有のリムノキに果実が豊富に実る2~4年おきにしか雄と交尾しないという。

「この要因が何なのかははっきり分かっていないが、注目している点の一つは、ビタミンDを非常に多く含む、基本的にはスーパーフードのリムノキの実が、生殖力と健康に関連していることだ」と、ディグビー氏は述べた。今年はリムノキの大豊作の年であり、一説によれば、気候変動と気温の揺らぎがリムノキの実の当たり年を後押しした可能性があると、ディグビー氏は指摘している。

 マオリ(Maori)語で「夜のオウム」を意味する名前を持つカカポの残存する個体群は、ニュージーランド沖にある、天敵のいない四つの島に隔離されている。体重が4キロほどになる雄たちは、繁殖期が始まると求愛の誇示行動を取り、雌たちはそれを見て交尾相手を選ぶ。雌は交尾後につがいの関係を終わらせ、抱卵と子育ての過程から雄を締め出してしまう。

 繁殖計画は綿密に監視されており、カカポは野生の状態を保っているが、各個体には電波発信機が取り付けられ、巣には監視システムが埋め込まれている。

「カカポは世界で最も集中的に管理された生物の一種だろう」と話すディグビー氏は、回復活動の集中度の緩和を検討するのは、個体数を少なくとも500羽にしてからにしたいと考えている。

 映像は、繁殖期を迎えて交尾をしようと体を揺らすカカポや、ひなのふ化の様子。ニュージーランド南島沖コッドフィッシュ(Codfish)島で、2019年1月~4月に撮影。(c)AFP