【4月19日 AFP】中国のゴビ砂漠(Gobi Desert)の真ん中にある火星基地シミュレーター。だがここは、火星で生活するための訓練を受ける宇宙飛行士ではなく、学校の課外授業で訪れたティーンエージャーたちでいっぱいだ。

 中国北西部甘粛(Gansu)省の不毛の丘に囲まれた土地に17日にオープンした「火星基地1(Mars Base 1)」は、10代の若者たちに(近い将来、観光客にも)火星での生活がどんなものかを体験してもらうことを目的としている。

 白亜の基地には、銀色のドームや、居住区や制御室、温室、機密室といった九つのモジュールがある。建設に当たっては、中国宇宙飛行士センター(Astronauts Centre of China)と中国国営のテレビ番組制作機関「五洲伝播中心(CICC)」の協力の下、総工費5000万元(約8億4000万円)が投じられた。

 訪れる若者たちは、砂漠でトレッキングをしたり、火星のような風景の中に点在する洞窟を探検したりできる。最寄りの街の金昌(Jinchang)市までは約40キロ離れている。

■「火星に最も近い」

 同プロジェクトを運営している企業C-Spaceは、現在は教育施設として利用されている同基地を、来年には宇宙をテーマとするホテルやレストランを併設して観光客向けに開放する計画だ。

 C-Space創設者のバイ・ファン(Bai Fan)氏は、AFPに対し、「われわれは活用法を見つけようと模索している。この基地は地球上にあり、火星にあるわけではないが、火星に最も似ている地形を選んだ」と語った。

 未来の宇宙飛行士たちが地球上の「火星」を探検している一方で、中国は来年、本物の火星に探査機を打ち上げる計画だ。中国政府は、軍が進める宇宙プロジェクトに莫大(ばくだい)な予算をつぎ込んでおり、2022年までに有人宇宙ステーションの設置を目指している。

 映像は16日撮影。(c)AFP/Pak YIU