【4月19日 AFP】エストニアのケルスティ・カリユライド(Kersti Kaljulaid)大統領は18日、ロシアの首都モスクワでウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と会談し、貿易や国際関係について協議した。エストニアの大統領がロシアを訪問したのは8年ぶり。

 ロシアが2014年にウクライナ南部クリミア(Crimea)半島を併合して以降、バルト3国の首脳として初めてプーチン氏と会談したカリユライドは、「たとえいくらか意見の不一致があったとしても、隣国同士は話し合うべきだ」と発言。

 これに対しプーチン氏は「政府高官や政府機関、隣り合う国々の間で交流がないのは平常な状態ではない」と述べた。また欧州連合(EU)加盟国で人口130万人のエストニアとロシアの貿易について、両国関係の冷え込みにより半減したと指摘した。

 カリユライド氏はこれに同調し、「EU・ロシア間の提携関係を回復すべき時だ」と述べた。

 エストニアが1991年に消滅に向かっていたソ連から独立して以降、ロシア・エストニア政府間には緊張関係が続いており、エストニア国内ではプーチン氏との会談を決断したカリユライド氏に対して批判の声が上がっている。また、エストニアは2004年にEUと北大西洋条約機構(NATO)に加盟している。

 さらにロシアがクリミアを併合し、ウクライナ東部の分離派を支援したことにより、ロシアによるバルト3国のエストニア、ラトビア、リトアニアへの武力侵攻に対する長年の懸念が再燃した。

 カリユライド氏は今月に入り、エストニアに米軍のパトリオットミサイルと部隊を配備するよう要請。エストニアにはNATOがすでに英国率いる1000人規模の戦闘群を配備している。(c)AFP