【4月17日 AFP】猫は屋内で飼うべきか、屋外で飼うべきか──愛猫家たちが長らく繰り広げてきた論争が今、終わりを迎えそうだ。猫は室内で飼育する方がはるかに良いとする研究結果が17日、報告された。

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 英国王立協会(Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に掲載された報告によると、屋内飼育のみの猫と比較して、屋外でも飼育されている猫は、病原体や寄生虫に感染する確率が3倍近く高いことが明らかになった。

 猫が感染する病気の中には人間に伝染し得るものもあることから、飼い主はこの研究結果に留意すべきだと論文は忠告している。

 研究チームは、猫を屋内外のどちらで飼うべきかとの疑問に決着をつけるため、屋内外で飼われている猫が一つまたはそれ以上の病気に感染している比率を比較した20以上の先行研究を徹底検証した。それら先行研究で扱われていた国は、スペイン、カナダ、オーストラリア、スイス、ドイツ、パキスタン、ブラジル、オランダ、カリブ海に浮かぶセントクリストファー・ネビスなど計10か国以上で、病原体は計19種類あった。

 すると興味深いことに、屋外で過ごすことのある飼い猫は、赤道から離れるほど、寄生虫やウイルスに感染する可能性が高くなっていた。論文筆頭著者である米オーバーン大学(Auburn University)の研究者、ケイリー・チャルコウスキー(Kayleigh Chalkowski)氏は「絶対緯度が1度高くなるにつれ、感染率は4%ずつ上昇していた」と述べる。「熱帯地域の方が野生に近く、寄生虫もより多いと思うかもしれないが、実際には高緯度ほど増えていた」

 同氏は今回の調査について、「広範囲の地域でさまざまな種類の病原体を対象にした上で、猫が屋外に出ることを感染リスク要因として数値化したのはこれが初めて」だと述べた。

 猫を屋外に出した場合の影響は、人間への感染の恐れがある猫回虫やトキソプラズマ症を引き起こす単細胞の寄生虫など、ほぼすべての病気で、しかも感染経路がどうであっても一貫してみられた。

 チャルコウスキー氏は「基本的には、世界のどこにいようとも屋内で飼育することが、健康な飼い猫を感染病から守る最善策だ」とまとめ、「猫が運んでくる病原体の多くが、実は人間にも伝染する恐れがあると考えること」は特に重要だと述べた。(c)AFP/Marlowe HOOD