【4月18日 Xinhua News】「水中のパンダ」と呼ばれる貴重な長江スナメリは長い間、深刻な絶滅の危機にさらされてきた。人間の活動による影響がスナメリの生存状況を脅かす主な要因になっている。こうした状況を踏まえ、中国で唯一、市の中心部で野生の長江スナメリを見ることができる都市、南京市は長江を横断する道路の建設計画策定で、設計案を何度も修正してきた。スナメリに「道を譲る」ためだ。

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 南京の長江スナメリ省級自然保護区の西端は同市江寧(Jiangning)区新生洲で、安徽省馬鞍山(Maanshan)市と隣接しており、東端は南京長江大橋まで全長約38キロに及ぶ。新済州水域は南京長江スナメリ自然保護区の中心エリアで、今回の錦文路長江横断道路の建設予定地はそのすぐ近くになる。建設の初期には、スナメリへの影響を抑えるため、川の中に建てる橋脚の数を極力減らそうと、計画部門は「主塔3本のつり橋」案を選んだ。そうすれば、スナメリ保護区内に建てる橋脚は1本で済むからだ。

 その後、南京市公共事業建設センターは何度も設計案の調整を繰り返した。橋梁の位置をスナメリ自然保護区中心エリアの境界部分から保護区の緩衝エリアに移し、川の中に橋脚を建てるのを取りやめ、「主塔3本のつり橋」から「主塔2本のつり橋」へと変更した。計画変更後、2本の主塔はそれぞれ新済州と子匯州に建てられることになり、スナメリ保護区を完全に回避することとなった。スパンの長さは2079メートルに達し、世界最長のスパンの長さを持つつり橋となる。

 「スパンが長ければ、設計、施工、材料の性能、耐風安定性に対する要求がそれだけ高くなります。それに伴い、施工コストも膨らみますが、スナメリ保護のためですから、それだけの価値があります」と、同センター計画処の王超(Wang Chao)処長はこう語った。

 長江スナメリと長江流域の生態環境の保護をさらに進めるため、2014年9月、江蘇省政府は南京長江スナメリ省級自然保護区の設立を認可した。スナメリのエサを増やすため、2014年以降、南京市漁業部門は3億尾を超える稚魚を放流してきた。これと並行して、保護区の南京長江三橋から下流の区間を完全禁漁区としたことで、保護区水域の生態が効果的に回復した。長江の南京区間に生息するスナメリの個体数は徐々に増え、現在までに五十数頭が確認されている。(c)Xinhua News/AFPBB News