■アマゾン・ドットコムのジェフ・ベゾス氏も後押し

 他のハイテク企業やその関係者も垂直農法を後押ししている。サンフランシスコで垂直農法に取り組むプレンティ(Plenty)は、米インターネット通販大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)CEO、携帯電話大手のソフトバンク(SoftBank)などから2億ドル(約222億円)の資金を得ている。

 他方で、米垂直農法大手クロップワン(Crop One)とアラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ航空ケータリング(EKFC)は、ドバイ(Dubai)に巨大垂直農法施設を建設するため、総額4000万ドル(約44億円)の合弁企業を創設した。

■世界最大規模

 世界最大の規模で垂直農法に取り組むのは、米ニュージャージー州ニューアーク(Newark)にあるエアロファームズ(AeroFarms)だ。

 2004年に創設された同社はこの分野での先駆者とされている。株式非公開企業で財務情報は公開されていないが、一連の努力を経て、現在では収益を上げるまでになっている。

 ラーメンレストラン・チェーン「モモフク(Momofuku)」の創立者であるデビッド・チャン(David Chang)氏は、エアロファームズに投資する一人だ。

 エアロファームズの共同創立者マーク・オオシマ(Marc Oshima)氏によると、同社は独自の技術を軸に事業を展開し、現在は中国、中東、欧州への進出を間近に控えているのだという。

 かつては製鋼工場だった同社の栽培施設は、天井までの高さが12メートルとかなり高い。この中に所せましと並ぶのは、ケールやルッコラなどの葉物を育てる金属製の栽培装置で、それぞれが12段のラックから構成されている。ここでは、ラックから下に垂れ下がった根への水やりが定期的に行われ、太陽の代わりにLEDが植物に光を届ける。