【4月21日 AFP】米ニューヨーク近郊で垂直農法に取り組む「バワリーファーミング(Bowery Farming)」では、従業員らは従来の農機具ではなく、リアルタイムで光と水の状況を監視するタブレット端末を片手に野菜を育てている。

 2015年に設立された同社は、急速な広がりを見せる垂直農法の一翼を担っている。これは管理された人工的な環境下で、年間を通して新鮮な野菜を屋内で栽培する農法だ。地球が人口増加と気候変動に見舞われる今日、一部の人々は、垂直農法が世界の食料需要を満たす重要な鍵になるとしてこの技術に期待を寄せている。

 同社の共同創立者であるアービング・フェイン(Irving Fain)最高責任者(CEO)によると、ニュージャージー州カーニー(Kearny)にある栽培施設では、従来の農場に比べて必要となる資材は少なく、また農薬も不要となっているという。

 バワリーファーミングでは、農業科学の専門家よりもプログラマーの数が上回っている。アルゴリズムを使用することで、一区画当たりの生産性が従来の農場に比べて約100倍となり、水の使用量も95%削減できた。フェイン氏は、バワリーを始める以前は、大企業のロイヤルティープログラムのデータ解析を提供する会社を経営していた。

■電気代も削減

 垂直農法はこれまで、日本やその他いつくかの国での取り組みは見られたが、近年の技術的飛躍を受けて、米国でもようやく広がり始めた。

 鍵となったのはLED電球だった。LEDの導入で、事業者は電力コストを大幅に削減できるようになったのだ。バワリーではこれに加え、機械と人工知能を多用してコストの削減を図っている。

 同社はまた、米グーグル(Google)の投資部門「グーグル・ベンチャーズ(Google Ventures)」や米配車サービス「ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)」のダラ・コスロシャヒ(Dara Khosrowshahi)CEOらから、1億2000万ドル(約133億円)以上の資金提供を受けている。