【4月16日 AFP】仏パリのノートルダム大聖堂(Notre Dame Cathedral)で15日夕に発生した火災では、消防隊員約400人が急速に広がる火の手に立ち向かった。現場に急行した消防隊員らは、聖遺物などの貴重な文化財を無事運び出すことにも成功している。当局者が明らかにした。

 火災は15日午後6時(日本時間16日午前1時)ごろ発生。消防車数十台に加え、少なくとも18の高所放水機材、小型無人機(ドローン)数機、ロボット1台も投入された。

 エマニュエル・グレゴワール(Emmanuel Gregoire)パリ副市長はテレビ局BFM TVに対し、「極めて急速に屋根まで延焼した」と述べた。火は12世紀に架けられた木の梁(はり)で急速に広がったが、グレゴワール副市長によると、最初に現場に到着した消防隊員らは「できるだけ多くの遺産を守ること」を優先事項の一つとして対応に当たったという。

 グレゴワール副市長と地元消防のトップは、消防隊が文化財を運び出すことに成功したと述べた。運び出した文化財の数量は明らかになっていない。

 同大聖堂のパトリック・ショーベ(Patrick Chauvet)司祭によると、イエス・キリスト(Jesus Christ)が十字架刑に処される際にかぶっていたとされる聖遺物「いばらの冠(Holy Crown of Thorns)」や、列聖された13世紀の国王ルイ9世(Louis IXSaint-Louis)が着用していたチュニックは無事だった。同司祭は、これら2点の聖遺物は、かけがえのない貴重な品だとしている。(c)AFP