【4月15日 AFP】中国・香港の裁判所は15日、がんの診断を受けた家事労働者の女性を解雇した雇用主に、補償金の支払いを命じる判断を下した。今回の事例は、富裕な金融の中心地である香港でメイドとして働く外国人女性らの搾取の問題に改めて光を当てた。

 フィリピン人のベビー・ジェーン・アラス(Baby Jane Allas)さん(38)は、ステージ3の子宮頸(けい)がんとの診断を受けた翌月、病気を理由に解雇された。アラスさんは毎週、放射線療法を5日、化学療法を1日受けている。

 シングルマザーのアラスさんと元雇用主側は香港の労働裁判所で15日、雇用主側が疾病手当、医療費、解雇予告手当として3万香港ドル(約40万円)を支払うことで和解した。

 アラスさんは同様の事例に直面している他の家事労働者らにも泣き寝入りしないよう促したいと語るとともに、自身が置かれた状況を理解し、より良い待遇が望める別の雇用主を見つけたいとの期待を示した。

 アラスさんは先にAFPの取材に対し、パキスタン系の家族に雇われ、1年余り前から週に7日働かされており、腐りかけた残飯を食べ、乱雑な物置の中で薄い布団で寝かされていると訴えていた。

 香港の家事労働者は37万人近くに上り、その大半がフィリピンやインドネシア出身の貧しい女性らで、低賃金で雑事を任され、悲惨な環境での生活をしばしば余儀なくされている。(c)AFP