■近代性

 AFPの報道によると、天皇陛下が昭和天皇よりも国民により近いと感じさせたことの一つは言葉遣いだった。天皇陛下はこうした伝統行事の際に使われる古語を一切使わず、「非常に丁寧だが、一般の人に分かりやすい言葉」を使い、第125代天皇への即位を宣言したという。

 その後、海部俊樹(Toshiki Kaifu)首相(当時)が天皇陛下の正面に立ち、祝いの言葉を述べ、2500人の参列者全員と万歳三唱をしたことも、過去にはなかったことだった。

 2時間後、天皇陛下はえんび服に着替え、皇后さまは白いローブデコルテに小さなティアラを着けて、光り輝く太陽の下、ロールスロイス(Rolls Royce)製のオープンカーに乗り込んだ。そして、沿道に集まった群衆ににこやかに手を振りながら、東宮御所まで約5キロの道のりをパレードした。

■国民の近くへ

 即位の祝賀パレードの際には、沿道には警察官数千人が配置され、新天皇を一目見ようと約10万人が詰め掛けた。

 即位に先駆けてAFPは、天皇陛下が「父親(昭和天皇)のように皇居にこもるようにして暮らす、手の届かない存在にはなりたくないと思っている」と報じている。

 別のAFPの記事は天皇陛下について「控えめで、孤独を好むが、公の場では温かい笑みを見せ、仕立ての良いダブルのスーツを着こなす。彼の父親の時代、日本人は天皇を前にしたら頭を垂れ、目を伏せなければならなかったが、その形式的なスタイルとは決別した」と伝えている。

 だが、その日問題が何も起こらなかったわけではない。即位の儀式の前から最中にかけて、東京では神社や地下鉄への放火など約30の事件が発生したと警察は報告している。これらは反天皇制を掲げる極左勢力による犯行とされた。(c)AFP/Janet MCEVOY