【4月15日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、イスラム教徒の民主党女性議員の演説映像と2001年9月11日の米同時多発攻撃の映像をつなぎ合わせた動画をツイッター(Twitter)に投稿し、この女性議員への暴力を扇動していると非難を浴びている。サラ・サンダース(Sarah Sanders)米大統領報道官は14日、トランプ氏に悪意はなかったと釈明した。

 渦中にある民主党のイルハン・オマル(Ilhan Omar)下院議員(ミネソタ州選出)は女性イスラム教徒初の連邦議員で、先月ニュージーランドで発生したモスク銃乱射事件の直後に全米最大のイスラム人権団体「米イスラム関係評議会(Council on American-Islamic RelationsCAIR)」で行った20分間の演説が物議を醸している。

 オマル氏は演説の中でイスラム嫌悪について述べ、「ずいぶん長い間、われわれは二級市民扱いという不快感を強いられており、正直に言ってうんざりしている」「CAIRは9.11の後に創設された。一部の人々があることをやらかし、われわれ全員が市民としての自由を失い始めたからだ」などと述べた。

 しかし、保守派はこの発言に反発。多くの犠牲者を出した事件を過小評価しているとして、オマル氏に対する批判を強めていた。

 こうした中でトランプ氏は12日、問題となった発言の部分を切り取ったオマル氏の演説の映像と、世界貿易センタービル(World Trade Center)にハイジャックされた旅客機が突っ込む米同時多発攻撃の映像をつなぎ合わせた動画をツイッターに投稿。

 動画は「2001年9月11日、われわれは忘れない」という文の表示で締めくくられており、14日までに900万回以上再生された。

 これに2020年大統領選への出馬を表明したベト・オルーク(Beto O'Rourke)前下院議員やカマラ・ハリス(Kamala Harris)上院議員、史上最年少の女性下院議員アレクサンドリア・オカシオコルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)氏といった民主党の主立った政治家たちが守勢に回り、トランプ氏や共和党議員らがわざとオマル氏の発言を文脈から切り離し、同氏の命を危険にさらしていると非難している。

 ホワイトハウス(White House)のサンダース報道官は14日、米ABCニュースに出演し、「大統領に悪意はなく、もちろん誰に対しても暴力は許されない」とトランプ氏を擁護。また、オマル氏が親イスラエル系ロビー団体「米イスラエル公共問題委員会(AIPAC)」の政治影響力を批判するなど、反ユダヤ主義的なコメントを繰り返している点をトランプ氏は問題視していると釈明した。(c)AFP