■共同親権が一般的に

 離婚の際に共同親権を取得するケースも一般的になってきている。専門家の多くは、2週間ごとにそれぞれの親と暮らすことは、子どもが親と緊密な関係を維持するための最善の方法だと考えている。

 デンマーク社会科学研究センター(VIVE)によると、共同親権で育てられている子どもの数は、2009年から2018年までの10年足らずで16%から30%超に増加している。

 デンマークではこれまで、夫婦双方が合意している場合、オンライン上で届け出るだけで離婚が成立し、裁判所の判断も待機期間も不要だった。

 だが、新たな法律により、夫婦が離婚申請をした場合、それぞれにオンライン講座のリンクが送られてくるようになった。

 ヘンリエット・フックス(Henriette Fuchs)さんは3年前に離婚した際、試験段階だった講座を受講した。フックスさんは講座について「あまり冷静ではない状況にある時、自分がどう感じているかを熟考し、特定の状況にどう対処したらよいかを考える手立てとなった」と語った。

■心身の健康にプラスの影響

 講座の制作に関わった心理学者でコペンハーゲン大学(University of Copenhagen)准教授のマルティン・ハルド(Martin Hald)氏は、2015~2018年にボランティア2500人を対象に「離婚後の協力」講座の試験運用を行ったところ、「驚くべき」結果が得られたと話す。

 同氏によると、「14件中12件で、講座が心身の健康に中等度から強度のプラスの影響を与えたことが確認でき」、ストレスや抑うつ、不安、身体的あるいは精神的苦痛が軽減され、欠勤の減少につながったという。

 フックスさんは、講座は奇跡を起こすものではないことは認識しているが、便利な手段であることは分かったと話す。

 今回の取り組みは、国民や政治家などから広く歓迎されている。一方で、同国の子どもの半数以上に当たる54%が婚外子であるという事実や、離婚している親には受講が義務付けられていないということに対しては、議論はほとんど行われていない。ただ、このような親も希望すれば受講は可能だという。(c)Camille BAS-WOHLERT