【4月12日 AFP】世界で初めてブラックホールの姿を捉えた画像が公開されたことを受け、画像の撮影に使われたアルゴリズムの開発に関わった米国の女性コンピューター科学者が、一夜にして脚光を浴びている。

 この科学者は、米ハーバード大学(Harvard University)が運営するハーバード・スミソニアン天体物理学センター(Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics)の博士研究員、ケイティ・バウマン(Katie Bouman)氏(29)。画像が公開された10日、自身のフェイスブック(Facebook)アカウントで「この1年私たちが取り組んできたことをやっと共有でき、とても興奮している」と喜びをあらわにした。

 バウマン氏は2016年、国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」が世界中の望遠鏡を用いて集めた大量のデータからブラックホールの画像を生成するアルゴリズム「CHIRP」を開発した。

 収集された数ペタバイト(1ペタ=1000兆)のデータは、総重量数百キロにも上る膨大な数のハードドライブに保存され、マサチューセッツ州ウェストフォード(Westford)にあるマサチューセッツ工科大学(MIT)運営のヘイスタック観測所(Haystack Observatory)に移送された。

 画像の正確性を確保するため、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターはデータを異なる4チームに渡し、それぞれのチームが独立してバウマン氏のアルゴリズムを使い画像を作成した。1か月の作業の後、4グループはそれぞれの結果を他グループに発表した。

 バウマン氏は米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、「他のすべてのチームで、下半分が上半分よりも明るいという非常に似た画像が作られたのを見た(時は)、今までで最も幸せな瞬間だった。皆がその結果を得たのを見て、素晴らしい気分になった」と語った。(c)AFP