■既存警報システムは大地震が前提

 タッピン氏によると、アナック・クラカタウの地滑りのような事象について、市民に警報を発するシステムは今のところ存在しないという。

「世界の海に設置されている警報システムはすべて、大地震を前提としている」と、タッピン氏は説明する。「火山については、いまだにほとんど解明されていない。アナック・クラカタウは非常に貴重だ。なぜならこれにより、われわれは突然この事象の研究に目を向けるようになったからだ」

 既存の津波警報システムは、噴火によって誘発される波に対して十分機能するとは言えない、とタッピン氏は指摘した。

 タッピン氏は、アナック・クラカタウの事象について「津波の脅威にさらされている国々の準備不足をまたしても実証した。被害の抑制と警戒システムの改善が急務だということも浮き彫りにした」と述べた。(c)AFP/Patrick GALEY