【4月11日 AFP】2018年12月22日の夜、夕食を終えつつあったインドネシア・スンダ海峡(Sunda Strait)沿岸地域の住民らは、大惨事が自分たちを待ち受けているとは考えてもいなかった。

 数か月間断続的にくすぶり続けていた活火山のアナック・クラカタウ(Anak Krakatoa)が噴火し、南スマトラ(South Sumatra)州とジャワ島(Java)西端の沿岸沖の非常に深い海域に、1辺が300メートルの立方体くらいの大きさの岩塊が飛び込んだ。

 これにより引き起こされた津波が数分後に沿岸部を襲い、437人が死亡、3万人以上が負傷した。

 火山津波で過去20年間に約25万人が死亡している。アナック・クラカタウ山噴火による津波はその最新例だが、最後でもないだろう。

 津波の原因を長年研究してきた英国地質学会(British Geological SocietyBGS)の海洋地質学者デービッド・タッピン(David Tappin)氏によると、「第二のアナック・クラカタウになる恐れのある」海洋に隣接した活火山が世界に少なくとも40か所あるという。

 オーストリア・ウィーンで今週開催の欧州地球科学連合(EGU)総会で、AFPの取材に応じたタッピン氏は「われわれは今では潜在的な危険に気付いているが、(気付かずに)火山の近くに暮らしている人が何百万もいるということを、アナック・クラカタウのような出来事は浮き彫りにする」と語った。

「だが、このような人々が噴火以外の特定の危険にさらされていることについて、これまで誰も目を向けることはなかった。われわれは突然これ(津波の脅威)を認識し、何かできるのではないかと考えた」

 タッピン氏と研究チームは、火山性地滑りにより津波が発生した場合、どうなるかという詳細を初めてモデル化した。

 アナック・クラカタウから滑り出た岩塊は、水深約220メートルという非常に深い海底の溝に落ちた。これにより複数の大型の波が誘発され、短時間のうちに海岸線に達した。このうち2番目または3番目に到達した波が最も高かった。