【4月17日 Xinhua News】中国浙江省杭州市余杭区瓶窯(Pingyao)鎮港東村で暮らす十数人の高齢者グループは毎日、行動を共にしている。街を歩いたり、買い物をしたり、ダンスをしたり、マージャンをしたりと、まるで長年の友人のように打ち解けている。だが実は、彼らはほんの1年前まで見ず知らずの他人同士だった。

 「私たち数人の老人で『互助グループ』を立ち上げた」。「互助グループ」の発起人である朱栄林(Zhu Ronglin)さんはこう述べた。グループの目的は非常に単純で、名誉や利益のためではなく、ただ老後を仲間と楽しく過ごし、何かあった時は互いに助け合える関係をつくるためだった。このような「養老」(高齢者の世話や介護)スタイルが中国の高齢者の間で広まりつつある。

 重病を患い2度の大手術を経験、体力は落ち、気分も沈み、毎日の食事も冷凍の水ギョーザをゆでて食べるだけ――。これが互助グループ結成前の80代の朱さんの生活だった。妻の王桂芬(Wang Guifen)さんは、朱さんの体を心配する一方で、2人が毎日顔を突き合わせるだけの生活に耐えられなかった。

 朱さんは「このような生活は続けられないと思い、解決方法を考えた」と述べた。朱さんは以前、米国やドイツ、日本では、高齢者の互助グループが普及しているということをインターネットで見て知っていた。

 そこで2017年5月、杭州の地元紙「都市快報」に募集広告を出し、同じ考えを持つ高齢者に声を掛けて、朱さんの郊外にある別荘で一緒に老後を過ごすことにした。家賃は月1200~1500元(1元=約17円)、食費や水道・電気代は別途精算となる。一緒に暮らす条件として、重病や伝染病を患っておらず、生活面で自立していることなどを挙げた。

 数日も経たないうちに、100組を超える夫婦の応募があった。朱さん夫妻は面接官さながら、書類審査をして電話でコミュニケーションを取り、最終面接で6組11人を選抜した。一緒に暮らすメンバーとして、医者やディレクター、社会科学の専門家、ごく普通の労働者も選ばれた。

 2年近くの間にメンバーの出入りがあり、4~5組が相次いで入れ替わった。王さんは「出て行く原因はさまざまだが、多くは健康上の理由からだ」と説明した。うち2組は体を壊したことが原因だった。医者のメンバーはパーキンソン病を患い、また別のメンバーは階段を下りる際に転倒し骨折してしまった。

 データによると、人口の高齢化は中国の現段階、あるいは21世紀の重要な国内事情の一つとなっている。「高齢者の健康青書:中国高齢者の健康に関する研究報告(2018)」によると、2018年末時点で、中国の満60歳以上の高齢者は2億4900万人に上り、総人口の17.9%を占めた。21世紀半ばには、満60歳以上の高齢者は5億人に迫り、総人口の35%前後を占めると予測されている。

 専門家は、現在、社区(コミュニティー)での「養老」は1%にも満たず、高齢者施設でもわずか2%、「養老」の負担は家庭に集中していると指摘した。また息子や娘たちも自らの生活に追われ、高齢者を世話する余裕はほとんどないという。

 80歳の謝前明(Xie Mingqian)さんは、中国で有名な地名研究の専門家で、2018年に妻と共に「互助グループ」に申し込んだ。謝さんは「子どもたちに迷惑をかけずに、楽しく充実した老後を過ごすには『互助グループ』は最適な方法だ」と語った。

 子どもたちに迷惑をかけたくないと思いながら、一方で彼らに側にいてほしいと強く願う。口に出さないだけで、高齢者の誰もがこのような矛盾した心理状態を抱えている。「互助グループ」は一時的な「仮住まいの場」であることをメンバー自身もはっきりと認識しているが、都会に戻って息子や娘と一緒に暮らすか、老人ホームに入るか決めかねている。

 朱さん夫妻も同様の問題に直面していた。足元がおぼつかなくなってきた2人も、あとどれくらい互助グループを運営できるかは分からない。もし要の2人がいなくなると、互助グループは果たして続けていけるのだろうか?(c)Xinhua News/AFPBB News