【4月10日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は10日に発表した年次報告書で、2018年の世界の死刑執行数はおよそ30%減少し、過去10年で最低水準だったと明らかにした。一方いくつかの国では死刑執行数が増加傾向にあると指摘した。

 世界全体の死刑執行数は、2017年には少なくとも993件だったが、2018年は少なくとも690件だった。アムネスティによると死刑執行数が世界で最も多いのは中国だが、中国は死刑に関するデータを国家秘密としているため、アムネスティの統計に中国の死刑執行数は含まれていない。

 2018年に死刑執行数が多かった国はイラン(少なくとも253件)、サウジアラビア(149件)、ベトナム(少なくとも85件)、イラク(少なくとも52件)など。イランでは薬物取締法が改正されたため死刑執行数は50%も減少した。イラク、パキスタン、ソマリアでも減少した。

 一方で、ベラルーシ、日本、シンガポール、南スーダン、米国では死刑執行数が増加した。タイではおよそ10年ぶりに死刑が再開され、スリランカも死刑再開の意向を示した。しかし、アムネスティの報告書は、世界的に死刑廃止に向けた動きが加速していることを示している。(c)AFP