【4月10日 AFP】テリーザ・メイ(Theresa May)英首相は9日、ベルリンでアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相、パリでエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領と相次いで会談し、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)の再延期を要請した。

 メイ首相はすでに、離脱期限を現行の今月12日から6月30日へと延期するよう要請しており、EUは10日にブリュッセルで開く首脳会議で再延期の可否を協議する。延期は承認される公算が大きくなっているもよう。

 マクロン大統領は強硬な延期反対派と考えられている上、EU内での協議で強い影響力を持っているとみられる。

 再延期が承認されなければ、円滑な離脱のための協定が英・EU間で結ばれないままブレグジットが実行される、いわゆる「合意なき離脱」に至る可能性がある。

 マクロン大統領の側近は先週、再延長が承認されるかどうかは分からないとの見方を示したが、9日には解決策を受け入れる用意がフランスにあることを強調。匿名を条件に「われわれは、一定の制限と条件を設けながら『合意なし』への代替策を見いだす考えを拒んだことはないと述べた。

 英政府とEUが「合意なき離脱」による混乱を避けるため対策を急ぐ中、欧州理事会(European Council)のドナルド・トゥスク(Donald Tusk)常任議長(EU大統領)は9日、加盟各国の首脳に対し、ブレグジットを最長で1年間延期することを認めるよう呼び掛けた。

 トゥスク氏は「一つの可能性は、柔軟な延期(flexible extension)をすることだ。1年間を越えない範囲で必要なだけ延期する。それ以降は、欧州におけるいくつかの重要プロジェクトについて全会一致で決定を下す必要がある」と述べた。

 この「フレキシテンション(flextension)」案が採用されれば、英国は、メイ首相がEU側とまとめた離脱協定案を英議会が承認した時点でブレグジットを実施することが可能になる。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT with Leo PIERRARD in Berlin and Alice RICHIE in London