【4月10日 AFP】(更新)AFP通信のエメリク・バンスノ(Aymeric Vincenot)アルジェリア支局長(45)が9日、アルジェリアから国外退去させられた。当局が2019年の記者証の更新を拒否した。

 バンスノ支局長は2017年6月から同国の首都アルジェに駐在してきたが、記者証が更新されなかったために在留許可が更新できず、警察が定めた退去期限を迎えたことを受けて出国を余儀なくされた。

 アルジェリアでは2月、アブデルアジズ・ブーテフリカ(Abdelaziz Bouteflika)大統領(当時)が次期大統領選で5選を目指す意向を表明したが、数週にわたる前例のない抗議運動を受けて出馬撤回と辞任に追い込まれており、現在も政治的緊張が続いている。

 AFP通信のファブリス・フリース(Fabrice Fries)会長は「ブーテフリカ政権下でなされた今回の決定は受け入れられない。現状を踏まえれば当然、当面の後任を任命する」と表明。

 同会長は今回の決定について、「支局長を奪うことにより、現在進行中の歴史的出来事をめぐり徹底的かつ厳密な報道を行うためアルジェリアに存在するわれわれの体制に対し、重大な影響を及ぼす」ものだとした。

 AFP通信はバンスノ支局長が国外退去させられる理由を問い合わせたが、当局から正式な説明はなく、3月に同国を訪問したAFPの経営幹部に口頭でさまざまな苦情を示すにとどまっている。

 苦情には、時事問題やブーテフリカ氏の健康状態をめぐるバンスノ支局長の報道に対するものもあったが、当局は不正行為があった証拠を示すことも、支局長に反論の機会を与えることもなかった。(c)AFP