【4月9日 AFP】フィリピンの首都マニラにある中国大使館前で9日、フィリピン国内で強まる中国の影響力に対する抗議行動が行われ、1000人ほどが参加した。係争地域となっている南シナ海(South China Sea)での中国の存在感をめぐり、緊張が高まっている。

 フィリピン国旗を振るデモ隊は、「中国は出て行け」とシュプレヒコールを上げたり、「わが国の主権を守れ」と書かれた横断幕を掲げたりして、海底資源豊かな南シナ海での中国の領有権拡大に抗議した。

 デモに参加した男性教師(53)は、「ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)政権は対応が甘い。中国の行為は侵略に等しい」と不満をもらした。

 ドゥテルテ大統領はこれまで、中国との争いは無益であり、貿易や投資を求めてきた中国と事を構える意図はないと繰り返し述べるなど、一時過熱した南シナ海の領有権問題に目をつぶる姿勢を示していたが、フィリピンが実効支配するパグアサ島(Pag-asa Island、中国名:中業島、Thitu Island)付近でこの数か月間に中国船数百隻の航行が確認されたことを受けて緊張が再燃。

 政府は中国船の存在は「違法」と断じ、ドゥテルテ氏はパグアサ島に立ち入ろうものなら軍事行動も辞さないと警告している。(c)AFP