【4月8日 AFP】ネパールは、世界最高峰エベレスト(Mount Everest)の標高を再計測するため、政府任命の調査団を派遣する。同国政府関係者らが8日、発表した。以前からささやかれてきた、エベレストの標高が低くなったのではないかという臆測に終止符を打つのが狙い。

 政府の測量官4人は10日、ネパールと中国にまたがるヒマラヤ(Himalaya)山脈のエベレストに向かって出発する。

 エベレストの公式の標高は、1954年にインドが実施した測量で初めて記録された8848メートル。以後も多くの調査団が測定してきたが、この数字が今も広く受け入れられている。

 しかしネパールでは2015年に大地震が発生。強い揺れでエベレストの標高が低くなったのではないかとの指摘が相次ぎ、激しい議論が巻き起こった。

 ネパール測量局は2017年、この論争に終止符を打とうと、エベレストへの遠征の準備をするよう測量官らに依頼した。

 政府の測量官4人は2年を費やし、頂上の標高を測る方法を精査。麓から測定値を収集し、世界の頂で遭遇する極めて厳しい環境に備えてトレーニングを重ねてきた。

 関係者らによると、正確な標高を算出するのに必要となる残りのデータを収集するため、最新機器を携えて危険なエベレスト登山に挑むという。

 遠征隊長を務め、2011年にエベレスト登頂に成功しているキム・ラル・ガウタム(Khim Lal Gautam)主任測量官は「あの土地では、たやすい仕事にはならないだろうが、われわれの任務は成功すると確信している」と話した。

 ネパールにとっては、国の名を高めている誉れ高い山でありながら、一度も独自に取り組んだことのない測量に初めて臨む機会にもなる。

 エベレストの標高をめぐっては1999年5月、米国のチームがGPSを用いて標高を測量したところ、さらに2メートル高かったと発表。米ナショナル・ジオグラフィック協会(National Geographic Society)は現在、この数字を採用しているものの、広く受け入れられてはいない。

 その後、中国が4メートル低いと主張したことから、ネパールは外交論争に巻き込まれることになった。(c)AFP