【4月7日 AFP】英南部で昨年、神経剤「ノビチョク(Novichok)」にさらされてパートナーだった女性を失い、自身も一時重体に陥ったチャーリー・ローリー(Charlie Rowley)さん(45)が6日、ロンドンで駐英ロシア大使と面会した。大衆日曜紙「サンデー・ミラー(Sunday Mirror)」が報じた。

 イングランド南部ソールズベリー(Salisbury)近郊に住んでいたローリーさんは昨年6月、香水の瓶をみつけてパートナーのドーン・スタージェス(Dawn Sturgess)さん(当時44)に渡したところ、二人とも病院に搬送され、スタージェスさんは8日後に死亡。ローリーさんも2週間昏睡(こんすい)状態にあったものの、後に退院した。当局は二人が神経剤のノビチョクにさらされたと断定。ノビチョクは冷戦時代後期にソ連が開発した軍事用の神経剤とされる。

 サンデー・ミラーによると、ローリーさんは6日、ロンドンのロシア大使館でアレクサンドル・ヤコベンコ(Alexander Yakovenko)駐英大使と面会した。

 ローリーさんは同紙に対し、1時間半にわたった会見で「私は『あなたの国はなぜ、私の恋人を殺したんですか』と尋ね続けた」と説明。「だが、いかなる答えも得られなかった。ロシアのプロパガンダを得ただけだった」という。

「大使は、問題の物質は絶対にロシア製のノビチョクではないと繰り返すばかりだった。その理由は、もしそうだったら、みんな死んでいたはずだと言うんだ」

 一方、ロシアのテレビ局もローリーさんとヤコベンコ大使との面会を伝えた。これによると、大使は同事件の「未解決の疑問点」に関する書籍をローリーさんにプレゼントし、ロンドンの一等地に立つ豪華な大使館を案内したという。(c)AFP