【4月6日 AFP】中国・北京の天安門広場(Tiananmen Square)で1989年に起きた「天安門事件」をテーマに「大虐殺(Massacre)」と題した詩を発表して投獄された、詩人で作家の廖亦武(Liao Yiwu)氏(60)が5日、AFPのインタビューに応じ、祖国・中国は「世界全体にとって脅威」であるため、分裂する方が人類のためになるとの考えを語った。

 反体制派の作家として、「中国のアレクサンドル・ソルジェニーツィン(Alexander Solzhenitsyn)」の異名を取る廖氏は、自分の夢は中国が「10ほどの国々に分裂」することだと語り、「今日の中国は、世界全体にとって脅威になっているからだ」と説明した。

 フランスで刊行された廖氏の最新作「銃弾とアヘン(原題:Bullets and Opium)」は、北京での民主化運動の最中、軍隊によって大勢の人々が殺された1989年の事件の際、犠牲になった人々の詳細を記した作品。だが天安門事件の大虐殺は中国では大きなタブーとされ、同作も発禁処分を受けている。

 2011年以降、独ベルリンで亡命生活を送り、音楽家でもある廖氏は、「中国に帰国すること自体にはそれほど関心はない。(だが)故郷の四川(Sichuan)省には帰りたい。四川省が独立したときに。それなら喜んで帰郷する」と話す。

 中国の貧困層の生活を伝える著作を持つ廖氏は、人権団体によれば、刑務所の中で拷問を受け、釈放に際しても警察からの嫌がらせを受けた。獄中生活について記した「証言(原題:Testimonials)」は、ソルジェニーツィンの作品「収容所群島(The Gulag Archipelago)」にも例えられ、中国の民主活動家でノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者でもあり、2017年に警察の留置下で末期がんにより亡くなった劉暁波(Liu Xiaobo)氏にも称賛された。