■スモッグ難民

 中国では、大気汚染が悪化する冬になると、より空気がきれいな南部のリゾートなどに一時的に避難する住民も多い。

 中国最大のオンライン旅行サービス「シートリップ(Ctrip、携程)」は2016年、北京や上海など大気汚染が深刻な都市では毎年、100万人超の住民が国外に避難していると推定している。

 このような「スモッグ難民」の人気の避難先には、日本やオーストラリア、ニュージーランドが含まれている。シートリップによると、「肺の浄化旅行」と称して南極にまで足を延ばす人もいるという。

■「肺浄化」商品

 大気汚染が深刻な都市では、容器入り空気を利用する住民もいるが、健康効果はほとんどないと専門家らは指摘する。それでも、ニュージーランドやカナダ、オーストラリア、スイスなどの容器入り空気を販売する業者は後を絶たない。

 カナダの人気観光地バンフ(Banff)の空気が8リットル入った缶詰は約22ドル(約2500円)で、英国の田舎町の空気入り容器は125ドル(約1万4000円)で販売されている。

 中国では、肺を洗浄するとうたう「抗スモッグ」茶を販売する業者もいる。またモンゴルでは、缶などからジュースに酸素を注入して作る「酸素カクテル」も販売されている。「酸素カクテルを1杯飲むだけで、森林を3時間歩いたのと同じ効果が得られる」とうたっているが、カクテルが実際に大気汚染対策になるとの科学的証拠はない。(c)Catherine LAI