【4月18日 AFP】国連環境計画(UNEP)によると、アジア太平洋地域の人口の約92%は、健康に深刻な危機をもたらす水準の大気汚染にさらされている。

 スモッグで空気がかすむ中、大気汚染の影響を最小限に抑えるためどのような対策が取られているのか紹介する。

■散水

 大気汚染に対する人々の怒りが高まっており、各国政府は対策として、汚染物質を吸着させて地面に落とす散水を行っている。だが、放水銃といった手段は効果が低い上、根本的原因から目をそらせるための応急措置でしかないとの批判が出ている。

 世界で最も大気汚染が深刻な都市の一つであるインド・ニューデリーは2017年、上空からヘリコプターによる散水を試みようとした。だが、スモッグによる視界不良でヘリコプターが飛び立つことができず失敗に終わった。

 タイ・バンコクでは1月、数週間にわたり上空に立ち込めていたスモッグ対策として、高架道路への散水や人工降雨、さらには散水ドローン隊などさまざまな方法が試された。

 人工降雨は、ロケットや大砲、航空機で化学物質を雲に注入し降雨を促す方法だが、必ずしも成功するわけではない。

 韓国は1月、大気汚染対策として人工的に雨を降らせようと航空機で雲にヨウ化銀を注入したが、数分間霧雨が降っただけに終わった。

■屋外空気清浄機

 中国・西安(Xi’an)では、工業用煙突ほどの大きさの巨大空気清浄機の実験が行われている。研究者らは、10平方キロメートルの範囲においてPM2.5の値を15%削減できると説明している。

 香港では今年、空気清浄機を備えた全長3.7キロのトンネルが開通した。この種の装置としては世界最大の処理能力を持ち、毎時540万立方メートルの排ガスを処理できるとうたっている。

 政府によると、この装置により有害微粒子や二酸化窒素を少なくとも80%除去できるという。トンネル沿いの3か所に換気装置が設置されており、巨大な送風機で排ガスを空気清浄機に送り込む仕組みとなっている。

 インド紙ヒンドゥスタン・タイムズ(Hindustan Times)によると、ニューデリーは昨年、交差点へ巨大空気清浄機を設置する他、バスの屋根に空気ろ過装置を搭載し走りながら汚染物質を捉える計画を発表した。