【4月4日 AFP】これまで白化現象を免れていた世界最南端のサンゴ礁で、この夏の間に白化が発生したことが発覚した。オーストラリアの科学者らは3日、最も隔絶された場所の生態系にも、温暖化による海水温上昇の影響が及んでいると警告を発した。

 豪シドニーから約600キロ離れた洋上に浮かぶロードハウ(Lord Howe)島のサンゴ礁は、昨年から今年にかけての南半球の夏の間に温度上昇の影響を受けて白化した。

 ロードハウ島のサンゴ礁は、豪東海岸沖にある世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)が死滅の危機に見舞われた2016年と17年の白化現象は免れていた。

 豪ニューカッスル大学(University of Newcastle)のビル・レガット(Bill Leggat)准教授は「これほど隔絶された最南端のサンゴ礁でさえも白化現象が見つかったという事実は異変の警告であり、非常に憂慮すべきことだ」「温暖化の影響が世界の隅々にまで及んでいることを示す新たな例だ」と述べた。

 レガット氏らオーストラリアの複数の大学から集まった科学者らは、米海洋大気局(NOAA)と共同で調査を行い、ロードハウ島沿岸の礁湖で最大90%の深刻な白化現象が発生していたことを発見した。温暖化で平均気温の基準値が上がったことや、同地域で今夏、気温が急上昇したことなどが白化現象の原因とみられる。

 ただし、ロードハウ島の海洋公園内でも、固有の生物が生息し世界遺産にも登録されているさらに深海のサンゴ礁は大部分が白化現象を逃れており、「比較的健康に見えた」とレガット氏は述べた。

 科学者らは今後数か月間調査を続け、サンゴ礁が白化から回復できる見込みがあるかどうか突き止めたいとしている。

 映像はロードハウ島付近で撮影。撮影日不明。(c)AFP