【4月9日 Xinhua News】スペインの薬品・化粧品ショップは3分間で100万元(1元=約16.5円)を売り上げ、1日の売り上げが1000万元近くに達した。英国の脱毛器は2年間で売り上げ25倍増を実現。ニュージーランドのマタニティー・ベビー用品は2年連続で売り上げ1億元を達成…。インターネットを使って海外の製品を購入する中国の越境電子商取引(EC)プラットフォームでは、海外中小ブランドによる奇跡が次々と生み出されている。

 スペインのスキンケア企業ISDINのフアン・ナヤ最高経営責任者(CEO)は「従来の欧州市場では最も良い時でも販売数は1日に5000~1万本だったが、中国のECプラットフォームでは1日に5万本が売れた。想像もできなかった」と語る。

 初めてのオンライン販売に中国の越境ECとの提携を選んだ同社は、中国の巨大消費市場の持つ魅力を充分に実感した。3年足らずで中国の大手越境ECプラットフォーム、天猫国際のコスメ部門で「売り上げ1億元クラブ」の仲間入りを果たし、2018年の店舗販売額は2億元を突破した。

 これは何千何万という海外の中小ブランドが中国の越境ECで得た成功の縮図の一つにすぎない。天猫国際には現在、4000以上のジャンルで世界77カ国・地域の2万を超える海外ブランドが出店している。

 中国政府はここ数年、開放の足取りを加速し続けている。輸入の拡大や関税の引き下げを行い、越境ECモデル都市を増やした。「電子商務法」など一連の法的保護施策も打ち出され、越境ECは発展の春を迎えている。

 天猫輸出入事業部の劉鵬(Liu Peng)総経理は「政府の越境ECへの支援はこれまでにない規模だ」と語る。越境EC支援でデジタル化監督管理方式を用いているのは中国だけであり、これにより消費の循環がより効果的に促され、中国の消費の大きな拡大を促しているのだという。

 世界各地の中小ブランドは現在、中国の越境ECプラットフォームで新たなチャンスを迎えている。欧州の化粧品やマレーシア、タイの健康食品、オーストラリアの乳製品、日本のベビー用品、韓国のスキンケア製品、ルワンダのコーヒーなど、さまざまな中小ブランドが越境ECを通じて、P&Gやユニリーバ、ネスレなど国際大手と平等に競争する機会を勝ち取っている。

 一方で劉氏は消費者構造の変化も指摘する。消費者がますますニッチ化していることや商品ニーズが多様化しているなど多くの要因が越境ECの大発展を後押ししているという。

 「1995年以降や2000年代生まれの若者が既に消費に加わっている。これらの世代はより多様化したニーズとこれまでは異なる考え方を持ち、より多くの海外製品を買いたいと考えている」と劉氏は語る。内陸都市で高まり続ける越境消費のニーズや地方町村部の若者の購買力の向上、消費者の個性的かつニッチな商品への追求が、越境消費の新たな市場を生み出していると分析する。

 劉氏は、同社が北米や欧州、アジア太平洋、東南アジア、オーストラリア・ニュージーランドなどの地域で既に世界6大仕入れセンターを設立していると説明。今後5年で出展企業を120カ国・地域まで広げ、100以上の海外優良中小ブランドを育てることで、中国の消費者に世界的なトレンドを持つ優良品1000点を提供していく考えを示した。(c)Xinhua News/AFPBB News