【4月27日 CNS】世界陸上の銀メダリストで、バラエティー番組への出演でも注目を集めた中国・男子走り高跳び選手の張国偉(Zhang Guowei)。そんな張が、商業活動に参加してナショナルチームから罰則を受けたことが理由で再び話題になるとは誰も思わなかっただろう。

 ネット上に流布している中国国家体育総局・陸上運動管理センターの処罰決定によると、張は今年2月末から3月初め、2度にわたって口実を設けてチームの合宿所から外出し、商業活動に参加したことが「陸上ナショナルチームの管理規定に違反し、試合準備に悪影響を与えた」と見なされた。陸上運動管理センターから「代表チームから外す」など、一連の処分を受けたという。

 中国の陸上ナショナルチームに近い人物によると、「成績を出すこと」と「商業活動」は永遠の矛盾であり、両立はあり得ないという。この人物は「バラエティー番組に出演すると、通常は撮影で1〜3日は時間を取られる。選手のバラエティー番組出演は基本的には練習時間を削ることになる」と話す。

 商業活動と練習・成績との矛盾以外にも、商業的利益をめぐって、選手とチームの間でさらに大きな摩擦が起きている。

 張国偉のほかにも、先ごろ引退した競泳選手の寧沢濤(Ning Zetao、ネイ・タクトウ)は、スポンサーに関するトラブルをチームで起こし、国家体育総局水泳運動管理センターから処罰を受けたことがある。米国NBAのプレー経験もある中国プロバスケットボール選手の易建聯(Yi Jianlian、イ・ジャンリャン)は、中国プロバスケットボールリーグ(CBA)のスポンサーが支給したシューズの着用を拒否し、中国バスケットボール協会から出場停止処分を受けた。

 また五輪競泳の金メダリスト孫楊(Sun Yang、ソン・ヨウ)は、アジア大会の表彰式で、個人のスポンサーと異なるスポンサーが提供したチーム用ジャージーのロゴを、国旗で隠したことが論争に発展した。こうしたスター選手と所属チーム、関連団体との商業的利益に関わる対立については現在、適切な解決案が望まれている。

 北京体育大学(Beijing Sport University)の李聖鑫(Li Shengxin)教授は、「チームはまず成績を求める。しかし選手側には、自身の商業的価値が上がっていく過程で成績を残す以外の選択肢も出てくる。選手の選択とチームの求めるものにずれが生じると、必然的に対立が起こる」と分析する。

 このような問題は世界的にも存在し、プロスポーツの商業化が進んだ米国でも過去こういった摩擦があった。最も有効で、現在最も実現可能な解決方法は、双方間による協議とコミュニケーションだろう。(c)CNS/JCM/AFPBB News