【4月3日 AFP】古生物学者らが扱う時間の単位は通常、数百万年だ。だが、古生物学者のロバート・デパルマ(Robert DePalma)氏(37)は、地球史上最も激変的な事象の一つである、隕石(いんせき)の衝突の数分後、数時間後に起きたことは説明できると考えている──。

 6600万年前に起きたチチュルブ(Chicxulub)小惑星の衝突は、現在のメキシコの海岸沖に巨大なクレーター(衝突跡)を形成し、陸と海の生物の大量絶滅を引き起こした。

 デパルマ氏は過去7年間、米ノースダコタ州にある化石発掘場で発掘調査を行ってきた。この化石発掘場について同氏や多くの科学者らは、衝突発生当時に関する特異な化石記録を提供する場所との認識を持っている。

 AFPのインタビューに応じたデパルマ氏は、「地質学的な歴史の事象発生時期を微調整できるこうした機会に恵まれることはまずない」と話し、「このような機会が得られるのは非常に…非常にまれなことだ」と続けた。

 米フロリダ・アトランティック大学(Florida Atlantic University)の非常勤教授(地球科学)を務めるデパルマ氏と共同執筆者11人は1日、今回の研究成果に関する予備的な論文を米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した。その内容は科学界を騒然とさせるものだった。

 発掘調査を開始した当時、デパルマ氏はまだ米カンザス大学(University of Kansas)の大学院生だった。対象としたノースダコタ州の化石の発掘場所は、恐竜化石ハンターの間でヘル・クリーク累層(Hell Creek Formation)の「タニス(Tanis)」として知られている場所だ。

 デパルマ氏と助手数人は7年間の作業で、厚さ約1.3メートルの堆積層から魚、草や木、軟体動物などが寄せ集まった状態の化石を複数発見した。

 同氏は、「こうした堆積物は、ほぼ瞬時に沈着した」と述べ、「泥質堆積物によって動植物すべてがほぼ瞬時に、あっという間に固定化された」と説明する。

 デパルマ氏はこの発掘場所を、イタリアの古代ローマ都市ポンペイ(Pompeii)になぞらえ、「ポンペイでも非常にさまざまなものが瞬時に保存された」と指摘した。西暦79年に起きた火山噴火で埋没したポンペイは、保存状態の良好な遺跡として残っている。