■過去の罪で訴えられることへの恐怖

 収容施設の周りに柵はない。ただ、ルワンダ政府は常に監視の目を光らせている。

 収容施設は、元戦闘員の帰国と社会復帰を担う政府委員会によって運営されており、1997年以来に収容された人の数は約1万1000人だという。元戦闘員らはここで3か月間滞在し、その後、長く離れていた家族の元に帰っていく。

 退所時には、新しい生活で必要となる身分証明書が発行され、一時金6万ルワンダ・フラン(約7200円)も支給される。

 施設では、大虐殺を引き起こした残忍なイデオロギーに対抗するための市民教育が行われている。収容者らは、国の再建や発展にどのように寄与できるかといったことを学ぶのだが、これは何年も戦闘に明け暮れていた元戦闘員らが、市民生活に慣れるために必要な訓練でもある。

 その一方で、多数のFDLR戦闘員にとっては、ルワンダ政府に対する不信感が帰国をためらう理由の一つになっている。過去の罪で訴えられることへの恐怖もある。

 収容施設では、元戦闘員らが真剣に学ぶ様子が見られる。

 元FDLR戦闘員のフォーカス・トウィリンギビマナ(Focus Twiringiyimana)さん(47)は、講師が黒板に書くミシンの使い方を、細かくメモしている。トウィリンギビマナさんは1年前に施設での教育を修了していたが、仕立て職人になるため訓練を受けに戻ってきた。